特集 ビール新時代へ スモールバッチで“究極の味覚”に挑む

—SVBのフラッグシップ『496』は「エールのような豊潤さとラガーのようなキレ、IPAのように濃密なホップ感。甘味・酸味・苦味の究極のバランスと深い余韻が楽しめる」とありますが。
タイプはIPAでなく、IPLになります。IPAのエール(A)でなく、ラガー(L)だからです。技術的にいうとスモールバッチでおいしいラガービールが造れたら醸造技術者としては一人前といえます。それぐらい難しい。したがって、地ビールやクラフトビールでおいしいピルスナータイプのラガービールはそう多くはありません。ラガー酵母(下面発酵)は低温でコントロールしなければなりません。しかも低温の領域は5〜6℃から15℃ぐらいまでの幅はあるのですが、その幅の中で0.5℃違うだけで品質が変わってきます。1℃も違うと品質が様変わりします。

一方、エール酵母(上面発酵)は温度をそれほど気にしなくてもいい。さらに特徴のある香りが湧き上がって来るので、あまりブレのない品質に仕上げられるという利点があります。『496』では、ブラボーホップという特徴のあるホップを使っています。それとディップホップ製法という、酵母がいる間にホップを漬け込む(ドライホッピングとは異なる)当社の最新技術(特許取得)を使っています。
これだと酵母が吸着剤となって、ホップに含まれる棘々しい苦味やえぐ味、それから樹脂のようなオイリーで重たい嫌な香りはなくなり、ホップのいい香り、いい苦味だけが残ります。このため、エールタイプのような香りの賑やかなビールよりも、そのホップのいい香りや苦味が味わえるすっきりとしたピルスナータイプの方がいいだろうと判断してIPLという組み合わせの造り方を採用しました。

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