国産は「カジュアル」、輸入は「オーガニック」強化―サントリーワインインターナショナル2020年事業方針

サントリーワインインターナショナル(SWI)は2020年事業方針として「国産カジュアルワインの更なる拡大」「輸入戦略ブランドのポートフォリオ強化」「ワイン飲用接点の創出に向けた需要創造」「日本ワインの質・量の向上に向けた取り組み」の4つを明らかにした。1月21日に都内で開いた方針説明会で宮下敏社長が「総市場は厳しく2%減の見込みだが、当社は市場を上回る2%増を計画」と話した。

2020年方針
国産カジュアルワインのうち「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」はブランド計で196万ケース(1ケース720ml×12本)、前年比102%の計画。〈ストロング〉シリーズを1月下旬出荷分からリニューアル。「デリカメゾン」はブランド計101万ケース、102%。果汁入りの「フルーティデリカメゾン」を3月発売。また2月には、世界5カ国から厳選したブドウを使用した「5セレクトレゼルブ」を発売するなど、新しいワインファン獲得に向けた新規需要創造活動にも積極的に取り組む。
輸入ワインは、世界的に市場が成長しているオーガニックワインに注目が集まると予想。「レゾルム・ド・カンブラス」や「タヴェルネッロ」など主要な欧州産ワインブランドからオーガニックワインを新たに発売し、「いつも飲んでいるブランドのオーガニックワイン」という選びやすさを提案し、市場拡大を目指す。
日本ワインは、自園産ぶどう100%の「登美の丘ワイナリー」シリーズを中心に、「塩尻ワイナリー」シリーズ、「ジャパンプレミアム」シリーズとともに3つのラインナップで品質・価値向上を目指す。また高品質なブドウの安定調達に向けて、さらに活動を強化していく。

2019年振り返り
国産カジュアルワインの販売数量は104%。「酸化防止剤無添加の美味しいワイン。」と「デリカメゾン」を中心に新商品の発売やリニューアルを実施。輸入ワインは99%。このうち欧州産ワインは110%。日欧EPA発効を受けて「フレシネ」「マドンナ」など一部欧州産ワインを値下げした。日本ワインは岩の原葡萄園を含む日本ワイン計で72%。2018年が119%と大幅伸長した結果、2019年には一部商品の出荷調整を行った。SWI単体では54%。

「若者のワイン飲用拡大に注力」(宮下社長)
 国内ワイン事業は4社で市場をけん引し、2019年売上高は456億円、102%。輸入ワインは日欧EPA発効で拡大が期待されたが99%。数量でも102%だった。スパークリングワインでは欧州産が116%と拡大し、全体伸長率も106%。しかしスティルワインは欧州産で599円以下が103%、600~1199円が104%と拡大の一方、1200円以上は95%と前年割れし、欧州以外も含めたスティルワイン伸長率は96%にとどまった。ユーザーにも変化があり、購入者のうち20~30代、30~40代の減少が目立っている。40歳以下の若い世代との接点づくり、50歳以上の元気な既存ユーザーにはさらにワインへの関与を高めることで底上げを図る。
2020年事業方針のうち、「国産カジュアルワイン」は10年連続売上更新で2009年の2.7倍の420万ケースに伸長。国内流通の全ワインの中で容量ベース売上№1を獲得している「酸化防止剤無添加のおいしいワイン。」は2020年が196万ケース、102%。「デリカメゾン」が101万ケース、102%を計画。2本柱をさらに強化。ラインナップ強化を図り、あらゆる年代、あらゆる層にアプローチしていく。また、日欧EPA発効の影響もありスティルワインは各国間の流入・流出が活発になっている。そこで“赤玉”から継承する「日本人の嗜好に合ったものづくりで国産・輸入の魅力を併せ持った新ブランドを開発。世界5カ国から厳選したブドウを使い日本でブレンドした「5セレクトレゼルブ」を2月18日から発売。750ml瓶を採用し、10万ケース(750ml×12本)を目指す。
「輸入戦略ブランド」では、世界のオーガニック市場が右肩上がりに拡大中で、飲用意向は20~50代の女性中心に高いことから、オーガニックワインのポートフォリオを拡充。欧州各国の主力ブランドから「オーガニック」のラインナップを新発売。オーガニックワイン計で8万ケース、310%を目指す。
 「新需要創造」では若年層のワイン飲用接点の創出が課題で、「泡」「容器容量」「飲み方提案」の3つの切り口で若者を中心に需要創造に取り組む。ワイン飲用のきっかけは、30~40代は2010年ごろのバル業態拡大の影響で「スパークリングワインを料飲店で」が入り口となっていることから、本格スパークリングを幅広いラインナップで提案。新機軸として“和テイスト”スパークリング「雫音(しずね)」を6月30日から夏季限定で販売し新たなシーンを提案する。またボトル缶スパークやワインサワー、カップワイン、氷と楽しむワイン提案で需要創造を図る。
「日本ワイン」は自社ブドウ栽培を強化。農業生産法人を活用した国産ブドウ調達を拡大し、自社でのブドウ作付面積を2025年までに19年比1.5倍の67ha(うち自園31ha、農業生産法人は2.4倍増の36ha)とする計画。2020年販売目標は114%、SWI単体では126%。

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