ブラック・エステートの当主ニコラス・ブラウン氏「ニュージーランド・ワインメーカーズ・オブ・ザ・イヤー2022」!

オーストラリア「グルメ・トラベラー」誌にて、ブラック・エステートの当主ニコラス・ブラウン氏が2022年度の「ニュージーランド・ワインメーカーズ・オブ・ザ・イヤー」に選ばれた。ニュージーランド南島の東海岸にあるノース・カンタベリーは、ニュージーランドでも珍しく石灰質土壌が存在することでも知られている銘醸地。そして、この地で初めてピノ・ノワールが植樹されたのは、ブラック・エステートのネザーウッド畑だ。

今回の審査員のひとりでもあるジェーン・スキルトンMWによる賛辞が、選考理由を見事に表しているのでその内容をかいつまんで翻訳させていただく。

 

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ニコラス・ブラウンは、自らの仕事に強い関心を持ち最高のワインを造るために精進しているが、それは自分のワインにとどまらず地元のワイン造りのコミュニティ全体についても同様である。そして、些細なことを気にするような人ではない。

彼とともにブラック・エステートで過ごしていると、この土地を反映するワイン造りにいかに執着しているかに気づかされる。2007年に所有権を得て以来、まずすべての畑を有機栽培に転換し、現在はバイオダイナミクスに転換中だ。

ネザーウッド、ホーム、ダムスティープという3つのブドウ畑がある。畑にいると、この土地が生命に満ち溢れているとわかる。カバークロップ、昆虫、野生の花々が、ブドウが成長するための魔法のような環境を生み出している。ピノ・ノワール、リースリング、シャルドネに加え、カベルネ・フランとシュナン・ブランという、ニコラス・ブラウンが大きなポテンシャルがあると考えている品種も栽培している。

彼が海外で造りに参加した経験のあるワインのひとつにナパの「オーパス・ワン」があると知り、驚きを覚えた。フレンチオークの新樽を贅沢に使った超高級カベルネ主体のブレンドと、頭脳的でエネルギッシュ、そして思慮深いワイン造りのスタイルとは対照的であるからだ。

ブラック・エステートでは、野生酵母により発酵させ、オークは長期間ジーズニングされたものかニュートラルなタイプを使用、無清澄無濾過、そして通常は亜硫酸無添加など、自身のワインのスタイルを進化させ続けている。その結果、透明で優美な、土地と季節を忠実に反映したワインを生み出している。

私たちの賞は、ワインメーカーにスポットライトを当てるものだが、ブラック・エステートに滞在すれば、すぐにその哲学に深く根ざした共同作業が行われていることに気づくだろう。ニコラス・ブラウンは控えめな性格で、裏方に回ってブドウ畑やセラーでの仕事に集中するのを好む。妻のペン(ペネロペ)は彼の完璧なパートナーで、多くの受賞歴があるワイナリー併設のレストランを指揮し、地元産を含めたエシカルな食材を使う重要性を訴えている。

ブラック・エステートは、この土地を見事に映し出すワインを生み出している。「より介入が少なく、オークも少なく、アルコールも低く、精密でより個性的なワインを造る」という彼の哲学を追求し続け立ち止まることはない。今後も彼の旅の行末を見守るのはとても興味深い。

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代表的なワインをいくつか紹介する

<3つの畑のピノ・ノワール>

ブラック・エステート ホーム ピノ・ノワール2019

Black Estate Home Pinot Noir 2019 5,170円(税込)

ホームは1994年植樹。4haの畑。ピノ・ノワールのほかに、シャルドネ、少量のシュナン・ブランとカベルネ・フランが植えられている。65%除梗、75%ホールベリー、野生酵母で発酵、228ℓと500ℓの古樽で12か月熟成。アルコール度数12.5%。R.S.0.12g/ℓ、TA5.2g/ℓ、p H3.68、Total SO2 32mg/ℓ。

色が一番濃い。なめし革やラズベリーなどの赤い果実、そしてスパイスも感じるニュアンスのある香り。しなやかなアタックで、ミドルパレットが充実している。酸もタンニンもほど良く果実味とバランス。うま味が感じられる出汁的な味わい。バランスが素晴らしい。赤身の魚や、牛肉のしゃぶしゃぶなどに合わせたくなる。

 

ダムスティープ ピノ・ノワール2019

Damsteep Pinot Noir 2019 5,170円(税込)

1999年植樹。3つの異なるタイプの石灰岩土壌でなる急斜面の畑。7ha。ピノ・ノワールのほかにリースリングも栽培。75%除梗、80%ホールベリー、野生酵母で発酵、古樽で12か月熟成。アルコール度数13.0%。R.S.0.10g/ℓ未満、TA5.4g/ℓ、p H3.67、Total SO2 40mg/ℓ。

明るめのルビー色。温かみが感じられる香り。熟度の高い赤い果実に、香木や花のアロマも少し加わる。味わいにおいても果実の丸みが感じられ、とてもなめらかなテクスチャー。酸もソフトで、細やかなタンニンも果実味に包まれている。ふっくらとした印象。

 

ネザーウッド ピノ・ノワール2019

Netherwood Pinot Noir 2019 6,600円(税込)

1986年に、ノース・カンタベリーで初めて植樹された畑で、植樹以来無灌漑。ピノ・ノワールのほかにシャルドネも栽培。100%全房、野生酵母で発酵、古樽で12か月熟成。アルコール度数12.0%。R.S.0.10g/ℓ未満、TA4.0g/ℓ、p H3.82、Total SO2 14mg/ℓ。

明るめのルビー色。複数のスパイスの香りと赤い果実が融合した香り。華やぐまでに時間がかかりそう。しなやかなアタックで酸がとてもフレッシュ。酸とミネラルが味わいの骨格を形成している。タンニンはとても細やかで豊か。もう数年して丸みが出てくるまで待つのも良さそう。上品で若々しく、スパイシーで芯のある味わい。サラミなどをつまみたくなる。

<白&ロゼ>

ダムスティープ リースリング2020

Damsteep  Riesling 2020 4,180円 (税込)

48%は足で破砕し24時間までスキンコンタクト。小さなステンレスタンクと4年目の600ℓの樽で自然発酵。5か月間シュール・リー。アルコール度数12.5%。R.S.2.94g/ℓ、TA6.0g/ℓ、p H3.10、Total SO2 30gm/ℓ。

明るめの黄金色。蜜、洋梨や桃のコンポートの香り。爽やかなアタックで、炭酸ガスでフレッシュさを保っている。しなやかで、ミネラリーで骨格がしっかりしている。余韻に塩っぽさを感じる。果実はとてもよく熟している様子と、圧倒的なミネラル感がせめぎ合う。玄人向きのリースリング。

 

トレブル ロゼ2021

Treble Rose 2021 4,070円(税込)

3つの畑のピノ・ノワール57%、リースリング33%、カベルネ・フラン4%、シュナン・ブラン4%、シャルドネ2%を混醸。80%全房。アルコール度数12.5%。R.S.0.28g/ℓ、TA5.0g/ℓ、p H3.60、Total SO2 40mg/ℓ。

赤みの入った明るいロゼ色。最初は少し還元的。果実味がチャーミングで、酸がラズベリーのようなフレッシュさ。ほのかな収斂性もあり、食事と楽しみたいタイプ。口中で赤いベリー、花、白桃や洋梨、トロピカルフルーツなどなど様々な香りが弾け、複数品種の顔がかわるがわる見える、飲んでいてとても楽しいロゼ。

 

ブラック・エステート ホーム シュナン・ブラン2019

Black Estate Home Chenin Blanc 2019  4,730円(税込)

600ℓと228ℓの古樽で発酵、8か月熟成。100%マロラクティック。アルコール度数12.5%。R.S.1.2g/ℓ、TA5.8g/ℓ、p H3.16、SO2 無添加Total SO2 10mg/ℓ以下。

明るい黄金色。熟した洋梨や白桃に蜂蜜を数滴たらしたような香り。なめらかなアタックで、酸は爽やか。潮汁的なうま味の要素が感じられる。なめらかなテクスチャー。熟した果実と豊かな酸のバランスが印象的。内包したエネルギーをゆっくりゆったりと、グラスの中でエアレーションしながら飲むのも良さそう。

 

自然体でコツコツと、しかし情熱をもって毎日の仕事を積み重ねてきたペネロペ&ニコラス・ブラウン夫妻に、心からお祝いを伝えたい!

(Y. Nagoshi)

輸入元:ラック・コーポレーション

 

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