EXTENDA、アンダルシア産生ハムセミナー開催

スペイン・アンダルシア製品輸出促進公社(EXTENDA)は7月、全日本司厨士協会(AJCA)、日本ホテルバーメンズ協会(HBA)の協力で「アンダルシア産生ハム公式コルタドールセミナー」を福岡(6日)と東京(8日)で開催した。前半では概論のセミナーが開かれた。講師はヘレス出身のコルタドールで、Venencia y Imagen S.L.代表のヘスス・デルガード氏だ。その後、アンダルシア産生ハムを輸入する5つの輸入会社(マイヤーコーポレーション、グルメミートワールド、メルクマール、ティーアイトレーディング)の生ハム試食会が開催された。

カッティングを披露する講師のコルタドール、ヘスス・デルガード氏。

スペインでは2014年にハモン・イベリコの呼称に関して改定されている。現在は50%以上がイベリコ豚の血統であれば「イベリコ」を名乗れる。さらに育て方によって4つの品質区分に分かれている。

①セボ(50%以上の交配種、畜舎で飼育されもっぱら飼料で育つ)脚のタグは白色。
②セボ・デ・カンポ(50%以上の交配種、牧場で放牧され、飼料や下草等を食べて育つ)。脚のタグは緑色。
③ベジョータ(50%以上の交配種、デエサで放牧してドングリを食べる)。脚のタグは赤色。
④ベジョータ 100%(イベリコ純血種、デエサで放牧してドングリを食べる)。脚のタグは黒色。

ベジョータのイベリコ豚については、生後10か月の豚を、モンタネラの時期(=放牧の始まり)の10月頃にデエサに放し、最低60日間放牧する。豚はドングリのほか、原生林に生えている下草やキノコ類、カタツムリ等を食べて体重を増やしていく。イベリコ豚が1日に食べるドングリの消費量は8~10kg。「肉は日本の和牛とよく似ていて、サシが入っている。ドングリの油分が肉に浸透してスペインでは”脚のあるオリーブ”とも言われている」とデルガード氏。屠殺の時期はおおよそ年末だが、放牧期間によっても変化し、遅いと春先に行われることもあると言う。脚は塩漬けと後塩漬けの過程を経て自然乾燥でハモン(干し肉)に変わる。昼の温度(22℃以上)溶けた脂が、夜の冷気で固まる。この繰り返しで筋肉組織に脂が浸透していく。そこから熟成には3~4年かかるので、豚の飼育から市場に出回るハモンになるまでは実に最低5年の歳月を要する。

原産地呼称の数は、ワインに比べるとはるかに少なく、イベリコは4つ、セラーノは2つのみ。
イベリコのDOは現在、北からサラマンカ県の南東ギフエロ、デエサ・デ・エクストレマドゥーラ、ハブーゴ、ロス・ペドロチェス。

なおスペインおよび日本ではカッティングの技術を競う様々なコルタドールのコンクールが開催されている。カッティングの姿勢、道具の適切な扱い方、スライスの均等さ、盛り付けの美しさ等が競われる。「カット技術向上のためには、ただ練習あるのみ」とデルガード氏。

ハモン・イベリコはスペインを代表する食材で、イベリコ豚の楽園デエサは同国の自然の財産だ。
ベジョータの放牧には、1頭あたり2haの森の面積が必要となると言う。

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