“魂がある”と呼ばれるワイン ベガ・シシリア、ウニコの時間を飲む


あなたの中の問い

 筆者も最近、36年熟成させた「ウニコ 1989」を飲む機会があった。飲み手は、ひと口ごとに印象を更新させられる。グラスの中で変化が連鎖する。情報量が多いのではなく、会話をするように、ワインが語りかけてくる。何度飲んでも、同じ印象では終わらない。前回気づかなかった香りが立ち上がり、新鮮さと同時に懐かしさを覚える。ウニコは、飲むたびに新しい顔を見せる。
「ウニコ 2016」を「新しい友人と知り合うようなもの」と書いたマーティン氏は、こう結んでいる。

「その長寿は数年ではなく、数十年に及ぶことを疑いなく証明した」。

 ではいつ抜栓するか。どんなグラスで、どのくらいの時間をかけて追いかけるか。

 ウニコとの向き合い方は、人と人との付き合いに似ている。同じ人でも、久しぶりに会うと、印象が変わる。自分が変われば、見えるものも変わる。何十年もの時間を閉じ込めたワインがグラスの中で見せるものは、飲み手自身がこれまでに何を飲み、何を感じてきたかの映し鏡でもある。同じボトルを開けても、あなたと隣の人では、まったく違う体験になる。

 あなたのグラスに現れるのは、どんなウニコだろうか。このワインが「魂がある」と呼ばれる理由は、おそらくそこにある。


2021年、未来への序章

 2021年1月、暴風雪フィロメナがスペインを覆った。リベラ・デル・ドゥエロでは氷点下15度を記録した。畑は雪に埋まった。だが、この大雪が地中の水分を回復させた。春は穏やかな雨に恵まれ、夏は冷涼で、昼夜の寒暖差が大きかった。果皮は厚みを増し、果実味は凝縮した。ブドウは急がされることなく、ゆっくりと熟した。
 醸造長のイトゥリアガ氏は、昨年の小誌の取材に対し、2021年をこう語っていた。

「涼しく雨の多い年で、ブドウの試飲を存分に楽しむことができた。最も好きなヴィンテージだ」。

 フレッシュさと構造と強度が同居した稀有な年だった。リベラ・デル・ドゥエロだけではない。トロでもリオハでも、スペイン全域が恵まれた。多くの評論家が2015年や2019年に並ぶ評価をつけており、ベガ・シシリアはこの年を非常に高く評価している。

左から、「バルブエナ 5°2021」(41,800円)「アリオン 2021」(20,900円)「ピンティア 2021」(18,920円) 「マカン 2021」(20,900円)「マカン クラシコ 2021」 (11,000円)。価格は全て税込。


 今年リリースされた「バルブエナ5°」「ピンティア」、そしてロスチャイルドとアルバレス両家が共同で手がけるリオハのワイン「マカン」、いずれも2021年は特筆すべきヴィンテージとなった。


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