カルメネールとビオの「アンティヤル」チリワインの第一人者 アルバロ・エスピノサ

アンティヤルは先住民の言葉で「太陽の子」という意味だという。J1柏レイソルのマスコット「レイくん」は太陽王の子どもだから、彼のチリ名はアンティヤルである。たぶん。

 

「アンティヤル2003年」は、カルメネール45%、カベルネ・ソーヴィニヨン30%、シラー25%のブレンドだ。アルコール分は13.5%。黒い色の熟した果実の香りがどーんとやってくる。そのあとにほんのり黒胡椒などのスパイスが香る。しっかり凝縮した味わいでタンニンがとても滑らかでしなやかだった。およそ10年経って、「アンティヤル2012年」はシラーの割合が多くなりアルコール分が14.5%になった。しかしもっとしなやかさが増して上品になったように思う。

 

一方、「月」を意味する「クイェンKuyen」はシラー主体のブレンドで、果実香にスパイスの香りが大きく割って入った印象だ。バランスがよく酸味のきれいな軽快なワインだ。

 

アルバロは、畑の果実をそのままワインに表現するので、ともすればパワーが強すぎるきらいがあると思っていたが、2012年産を飲んで印象が変わった。以前よりやさしく、しなやかになった。2010年に購入したエッグタンク(卵形のセメントタンク)で造った「アンティヤル・エッグタンク2012年」はカルメネール100%のワイン。新鮮な果実とさわやかな酸味の活きた味わいで、このうえなく滑らかなタンニンだ。しかも味わいにインテンスがある。

アンティヤルの値段は他のチリワインに比べると高い。財布にやさしいワインも造ってほしいという要望を容れて2012年から「プラフェPura Fe」というワインを造った。樽を使っていない。なるほどカルメネールというブドウはこういう味香のワインになるのかがよく分かる。現在、日本には輸入元がないので(誰か輸入してくれいだろうか)日本円でいくらか分からないが、北米では小売12~13ドルだろう。「プラフェ」を飲むとアルバロがカルメネール造りの第一人者だということがよく分かる。

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