今、あらためて 注目が集まる理由とは
米国のフルーツバスケットとも呼ばれ、農業だけでなく畜産業も盛んなローダイは、サステイナビリティにおいても先駆的な存在だ。2005年に発足した「ローダイ・ルールズ」は、アメリカ独自の第三者認証によるサステイナブルプログラムの元祖。農業従事者によって作られ、世界的に有名な科学者や環境保護専門家たちがコミットした。州内だけでなく、ワシントン州、ひいてはイスラエルでも、世界で約2,600haの農地が認証を受けている。
これまで体系的に語られることの少なかった大生産地だが、ローダイの徹底ガイドとも言うべき本が出た。地元在住のワインジャーナリストで写真家、ローダイ・ワイングレープ委員会ソーシャルメディアディレクターのランディ・カパローゾ氏の筆になるものだ。400ページに及ぶ分厚さだが、写真やイラスト満載で、ローダイワイン今昔絵巻を見るかのようだ。2010年にローダイに引っ越し、地元の人々と知り合う楽しみを感じながら撮影・執筆し溜めてきた集大成だと言う。2020年からのコロナ禍で家に籠ったことで、編纂する時間ができての出版だそう。本記事に掲載の畑の写真も、当方からの求めに応じてデータ提供されたものだ。
125種類以上のブドウ品種が植わるローダイは、全米で最も多品種を産する。歴史的遺産のようなヘッドプルーニングの古木畑は全体の数%。多くはカベルネ、シャルドネをはじめとするメジャー品種だ。一方で、新たな切り口でさまざまな品種の特性にフォーカスするトレンドも見逃せない。
例えば、州内ではほかにパソ・ロブレスにしか植栽のないアリアニコからはセイバリーなロゼができる。故郷の南仏ではニュートラルな味わいのため、おもにブレンドに使われるグルナッシュ・ブランは、フレッシュな酸が前面に出て芳香性あるワインに。州内でもふたつとないプティ・シラー専業ワイナリーは、ビッグでタニックに仕上がることの多いこの品種からアロマティックで軽やかなワインを造る。州内各地の隠れた秘宝のような単一畑からワインを造る若手生産者のジンファンデルなどもある。ほかにも、アルバリーニョ、テンプラニーリョ、ヴェルデーリョ、サンジョヴェーゼなどから現代の嗜好にマッチするワインが増えてきて、百花繚乱の兆しも。クラシックとモダンがバランスよく共存するローダイは、まだまだ発掘し甲斐のある生産地だ。
@Lodi Winegrape Commission 1~5〈Randy Caparoso Photography〉/ 6〈Stephanie Russo Photography〉
続きは、WANDS 7-8月号
【特集】カリフォルニア ローダイ/新トレンド 多様な世界のスピリッツ/アルゼンチンワインの”今”を探る
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